バンギランド+サナバシャ 【VGC2015】

いよいよ世界大会まであと1週間といったところでどのような構築が、プレイヤーが魅せてくれるのか楽しみでなりません
そんな中僕がここ最近レーティングやマッチ戦での大会で使用している構築を自分の考えを見直す意味も込めて書いていこうと思います
今回は"メガサーナイト"というポケモンに着目して構築を組んでいきました
全国大会決勝やオフでの活躍が目立つように、自分の攻めの選択肢を押し付けやすいこのポケモンメガガルーラと並んで良く選択されているメガシンカポケモンの1体です
メガサーナイトの強みは

  • 相手2体に及ぼす影響力
  • 安定した命中
  • 技の通りの良さと補完性
  • ニンフィアと違い、火力と器用さを両立できる
  • 攻めの障害になりやすいモロバレルに強い

と言ったところであり、攻めに安定感を求めるプレイヤーにとってこれ以上にないポケモンと言えます
裏を返せば受けに回ると脆く、メガサーナイトを主軸とすると"ハイパーボイスをいかに通せるか"が勝敗に直結してきてしまうところが浮き彫りになりやすいため、そこをいかにして解消できるかを構築で意識しています
前置きが長くなりましたが使用した構築は以下の通りです

ポケモン 持ち物 特性
バンギラス 岩雪崩 ストーンエッジ 噛み砕く 馬鹿力 拘りスカーフ 砂起こし
ランドロス 大地の力 目覚めるパワー氷 ヘドロ爆弾 守る 達人の帯 威嚇
サーナイト サイコキネシス ハイパーボイス 目覚めるパワー地面 守る サーナイトナイト トレース → フェアリースキン
バシャーモ フレアドライブ 馬鹿力 岩雪崩 守る 命の珠 加速
シュバルゴ メガホーン アイアンヘッド ドリルライナー 守る オボンの実 防塵
モロバレル ギガドレイン 茸の胞子 怒りの粉 守る ゴツゴツメット 再生力

配分はほとんどぶっぱです
詳細は続きから


1.構築の組み合わせ
前述の問題点をクリアするべく、メガサーナイトに攻撃を頼りきりになるのではなく、他のポケモンを組み合わせて攻めの強さを発揮していきたいと考えたためまずは主軸となる組み合わせを考察していきました
既存のメガサーナイト構築には良くモロバレルヒードランなどが組み合わせられていますが、補完としての立ち位置が強く、これらのポケモンは切り返しの手段に乏しいためそういったポケモンで固めてしまうとメガサーナイトの弱みとも言える部分が色濃く出てしまうと考えました


1-1.サーナイト+バシャーモ

メガサーナイトと組み合わせることで力を発揮できるポケモンとして"バシャーモ"に白羽の矢が立ちました
バシャーモは炎と格闘タイプを併せ持っており、場を荒らす能力に非常に長けています
またメガサーナイトが苦手とするギルガルドヒードランをはじめとする鋼タイプに総じて強く、環境上位にいるメガシンカ(ガルーラ.リザードン.サーナイト,クチート,ゲンガーetc...)にも有利に動けます
バシャーモが苦手とするスイクンボルトロスクレセリアといった高耐久との打ち合いにはメガサーナイトが滅法強く、お互いの攻めの範囲を組み合わせることで強力な展開を作ることができます
またバシャーモは"特性:加速"を持っており、メガサーナイトも100族という早めの素早さを持つポケモンであるため、展開の早いビートダウンで制圧をしていくことが可能です
バシャーモは素早さを上げるのにラグがあり、守る前提の強さになりがちであるため、裏からランドロスといった威嚇ポケモンを多く呼び込みがちですがそこにメガサーナイトハイパーボイスが刺さることが多いため、威嚇ポケモンの繰り出しを躊躇及び突破することが可能です
サーナイトバシャーモの2体は広範囲への潰しの性能が高く、とても噛み合っているため、組み合わせとしての完成度をより高くしていると言えます


1-2.バンギラス+ランドロス+サーナイト

バシャーモとの組み合わせでは相手の炎タイプへの切り返しが難しいため、その組み合わせに対して攻めを展開できるポケモンが必要になります
またフェアリーが通らない組み合わせに対応するために鋼や毒に対していくつもカードを用意しておくに越したことはないので、他のポケモンサーナイトと組み合わせることができるポケモンを探しました
そこで採用に至るのはバンギラスと霊獣ランドロスの2体になります

バンギラス

霊獣ランドロス

  • 威嚇による低耐久ポケモンのサポート
  • 炎タイプ,鋼タイプへの高い打点
  • 一貫している地面を無効にできる
  • バンギラスとの組み合わせやすさ

このあたりを買って採用しています
メガサーナイトの性能との相性も良好であり、バンギラスが苦労しがちな格闘にはサーナイトが強い、ランドロスが辛い浮遊電気や水にサーナイトが打ち合えるなどといった攻めの面でも非常に噛み合っていると言えます
この2体とメガサーナイトが組み合わされている構築といえば、WCS2015準優勝の構築が記憶に新しいですが、それだけ高い結果を残せるパワーのある組み合わせだと感じています


1-3.サーナイト+モロバレル

ここまで攻めの姿勢を見せた組み合わせが多かったものの、補完の立ち位置にもなるモロバレルとの組み合わせもやはり強力です
やっていること自体はモロバレルサーナイトを脅威から逃がしながら攻撃を通していくという単純な動きなのですが、特にこの組み合わせが脅威とも言えるところが"サーナイトが1体である程度攻めを完結できてしまう"部分にあります
通りが良く2体に大ダメージを与えるフェアリー技、それを補完するエスパー技に目覚めるパワー
これだけあれば1体だけで攻めていても対策ができていない相手であればそのまま勝つことができてしまいます
またメガガルーラを筆頭としたメガサーナイトが押し切りにくい相手の攻めを妨害できるこのポケモンの存在は非常に大きいです
水への誤魔化し性能やバンギラスバシャーモとの組み合わせにも目は離せませんが、自分のペースを掴みに行くための"茸の胞子"や"怒りの粉"によるサポートがそれを支えています



2.個別解説
以上の話を踏まえてようやく個別の解説に移ります


バンギラス

持ち物:拘りスカーフ
陽気 A252 B4 S252
175-186-131-*-120-124

理由
岩雪崩 相手2体にダメージを与えることができ、味方の攻撃と合わせやすい岩打点のメイン技
ストーンエッジ ワイドガード持ちが隣に居ても役割を遂行でき、威嚇による弱体化を食らっても強力な一撃が期待できる
噛み砕く 役割対象であるゴーストタイプやエスパータイプへの打点となるメイン技2
馬鹿力 メガガルーラサザンドラをはじめとする格闘打点を入れたい相手に対して使う

炎や飛行、電気などに役割を持つポケモン
メガサーナイトランドロスバシャーモと組み合わせとなり強力な攻めを展開する必要があるため素早さを底上げできる拘りスカーフ
ゲンガーやボルトロスメガルカリオライコウといったポケモンの上を取りたいので素早さは自然と最速になります
221-105エンテイや223-176クレセリアなどへのダメージを考えるとスカーフバンギラスが最も強い形で活躍できるASに振り切りに落ち着きました
特に無理をしてでも耐えたいラインは見つからず、不特定多数の相手に岩雪崩を当てることになるのでAはできるだけ上げておきたい
冷凍パンチを打てる場面はこの構築の場合はあまりないように感じました
拘り持ちの格闘技はそうそう打ち続けるものではないので、瞬間最大火力の出せる馬鹿力を撃ち逃げしていく形になるでしょう
上から岩雪崩を打つことがベストの動きになることが多く、その結果"怯み"を誘発し、立ち回りを楽にしてくれたり、盤面をひっくり返す力もあったりでかなり強力なポケモンに感じました


ランドロス

持ち物:達人の帯
臆病 H4 C252 S252
165-*-110-157-100-157

理由
大地の力 隣を選ばない地面技のメイン技 追加効果も魅力的
目覚めるパワー氷 役割対象であるランドロスをはじめとする4倍弱点に刺さる技
ヘドロ爆弾 フェアリーを見てもできるだけ選出を歪めたくない 蓄積させてから隣の攻撃と合わせて落としにいく奇襲技
守る 地面の一貫を切るためにも大事にしていきたい 環境的にもマークがきつく、守るを持っていない個体も多く存在するため強さが光る技

フェアリーとの攻撃相性補完に優れ、威嚇による味方のサポート、繰り出しの補助までこなすナイスガイ
サーナイトと組み合わせる場合、このポケモンが地面技を打つたびにサーナイトが守っていては詰め切れない場合が多く、蜻蛉返りの引き先もいないなど裏目に出てしまうことが多々あり、物理型は非常に使い勝手が悪く感じました
そこでこの構築では特殊型で採用しています
この構築唯一の地面タイプ無効であり、相手のランドロスへの対策もしてもらいたいため同じ型とかちあっても最悪五分をとれる最速は切れません
初手でサーナイトと並べたときにランドロスがトレースよりも先に威嚇を発動させることができ、メガシンカした後のサーナイトとの素早さ関係を混乱させることもできます
物理での採用より遥かに使いやすく、メガサーナイトとの組み合わせは非常に強力でした
持ち物は相手のランドロスボーマンダウインディメタグロスといったポケモンに加えて、ヘドロ爆弾で相手のメガサーナイトをこちらのハイパーボイスと合わせて倒すためにCに振り切った上で達人の帯を採用しています
等倍相手への性能はやや力不足に感じたので命の珠などでの採用も非常に面白そうです


サーナイト

持ち物:サーナイトナイト
臆病 C248 D8 S252
143-*-85-176-136-145
143-*-85-216-156-167

理由
サイコキネシス モロバレルをワンパンできる可能性があり、フェアリーの通らない炎や毒、ワイドガード格闘にも打てるメイン技1
ハイパーボイス 火力指数30000が2体を襲う恐怖の技 メイン技2
目覚めるパワー地面 ヒードランを見ても選出やプレイを歪ませない 火力と器用さを併せ持つサーナイトの特権
守る 打たれ弱いポケモンであるため、盤面を整えることができるこの技は必須

構築の要となる組み合わせの片翼を担うポケモン
このポケモンの強さが最も出るCS振りで採用しています
Cは最低限181-120メガガルーラを確定2発にでき、自分より遅い相手に滅法強く打ち合いができるメガサーナイトの特性上できるだけSを上げて、勝てる相手にしっかり勝ちきれる構成にしてあります
Sをあげていたことで拾った試合も多く、メガガルーラ相手に同速を仕掛けることもでき、非常に魅力的に感じました
上を取られたときのトリックルームなども非常に強力ですが、それ以上にS167からのスキンハイパーボイス連打が強力だったように思います
既存の構築が見せる幻影に怯えるプレイヤーも多く、追い風や凍える風を選択された回数は少なかったように思います
そういった部分もサーナイトの強みとも言えるでしょう
ただB方面は非常に脆く、想像以上に慎重に運用しなければならない場面も多くありました


バシャーモ

持ち物:命の珠
陽気 A252 D4 S252
155-172-90-*-91-145

理由
フレアドライブ 役割対象となる鋼や草はもちろん等倍へも高い打点となるメイン技
馬鹿力 デメリット効果はあるもののある程度安全に役割対象に打てる格闘技
岩雪崩 リザードンをはじめとする炎タイプや飛行タイプへの打点
守る 盤面を整え、加速発動のために必須

サーナイトと相性の良い広範囲を潰せるアタッカー
選出や盤面を大きくコントロールでき、意識されてもなお強いポケモンなので今非常に注目しているポケモンの1体
これだけ器用に動けて、上からガルーラやリザードンサーナイトにゲンガー、クチートといった上位メガシンカを潰せるポケモンはそうそういない
素早さ補正のないランドロスの上を取れる、2加速で臆病スカーフゲッコウガを抜ける、ミラーに強い、火力で困ったことが特に無い等の理由で陽気
所謂低耐久のポケモンであるため敬遠されがちなポケモンですが、手持ちにいるだけで相手の選出を歪めやすくマッチ戦でも強さが輝くポケモンではないかと感じています


シュバルゴ

持ち物:オボンの実
勇敢 H252 A252 D4
177-205-125-*-126-22

理由
メガホーン 低命中ながらも非常に威力の高いメイン技
アイアンヘッド 役割対象であるフェアリーに対する安定した打点
ドリルライナー ほぼヒードランピンポイントだがこの技のおかげでガルーラ+クレセリア絡みの組み合わせに強く出れる
守る 遅いポケモンであるため相手の攻撃を見極めていきたい

相性補完として入ってきたポケモン
ガルーラ+クレセリアが中心となっている構築やサーナイト入りの構築に強い
そういった組み合わせに強いポケモンとしてはギルガルドも挙げられますが、大きな差としてはやはり特性と物理の高打点にあります
特性防塵も対モロバレルを筆頭に草タイプへの対策として強力であり、今の環境であればかなり扱いやすいポケモンだと感じています
ギルガルドではトリル下でのモロバレル+ヒードラン+クレセリアの組み合わせへの対応力は弱く、サーナイトと組み合わせることを考えるとトリックルームを抑えやすいシュバルゴが適任だと判断し、採用に至りました
クレセリアへの-1メガホーンのダメージやフェアリーへのアイアンヘッド、ガルーラへのハイパーボイスと合わせたダメージを考慮するとAは振り切りに
残りをHに振り切ることで残りの努力値で耐久値を最大に
特に素早さ操作ギミックがないため、ナットレイメガバクーダにも一矢報いる最遅までSを落としています
選出画面でサーナイトとこのポケモンが見えているとトリックルームを警戒させやすくなるので、相手のプレイングのミスを誘うこともできます
足りない数値はオボンで補う


モロバレル

持ち物:ゴツゴツメット
のんき H236 B164 D108
219-*-122-105-114-31

理由
ギガドレイン 攻撃しながら体力を回復できるため居座りを続けたいこのポケモンには好相性
茸の胞子 相手の行動を大きく制限できる凶悪技
怒りの粉 茸の胞子ほどではないものの、相手のゲームプランを崩せる非常に強力な技
守る 非常に放置しにくいポケモンであるため、処理を遅らせられるこの技は重要

水への打点と誤魔化し、フェアリーへの受け出し、または他のポケモンの動きを通すためのポケモン
この構築においては補完として非常に重要な立ち位置にいます
"倒す前に倒される"というポケモンの基本とも言える負けの筋をねじ曲げるために働いてもらいます
配分に関しては、構築全体がガルーラ+ボルトロスという並びに弱めであるため177ボルトロスの球めざ氷2耐えを確保しています
ガルーラ+ボルトロスに対して、安全に繰り出すために必要な数値を確保しました


3.構築について
この構築のスタイルとしては非常に分かりやすい相手に倒される前に倒しきることを全面に出した構築です
通せる技や倒されてはいけないポケモンの判断を意識した選出とプレイングを心がけます(あらゆる構築に言えることですが)
その上で把握しておきたいことは"苦手なポケモン"でしょう
穴のない構築を作ることは不可能なので、事前に何をどうされたら負けに繋がるのか把握しておくことが賢明と言えます


・苦手なポケモン

やはり筆頭はこのポケモンでしょうか
パーティ自体上を取られることが苦手であり、それをクリアするためのポケモンがことごとく飛行弱点なのでこのポケモンには苦労をします
幸いながらマッチ戦ではなぜかこのポケモンの姿を見ることが少ないので、割りきって構築を組んでいくのもありかもしれませんね
レートにはうようよいるので対戦には非常に苦労しました
基本的にバンギラスランドロスの威嚇を絡めて処理していく形になりますが、いざというときはバシャーモを強気に動かして雪崩を選択できる状況を作るなど大きなリスクを背負ったプレイも選択していかなければなりません



構築のキーとなるポケモンに上から抜群の打点を入れられるという意味ではこれらのポケモンも苦手としています
ハッサムは抜群をとらなければ一撃で倒しきることは難しく、剣の舞などで展開をされてしまうと非常に苦しい試合になってしまいます
ゲッコウガに関しても攻撃の要が弱点をとられてしまうことから注意してプレイしなければなりません
単体であればなんとかなるものの、ファイアローなどの苦手なポケモンとセットでいることが多く、結果的にこれらのポケモンに一掃されてしまう試合もありました
この2体を相手にするときはバシャーモが鍵となってくるので、過労死しないよう慎重に動かしていきます



また浮いているポケモンランドロスしかいないこともあり、誤ってランドロスを失ってしまうと地震が一貫してしまい、難しい試合を強いられてしまいます
基本的にはランドロスを大事に動かしていくことを念頭に起き、地震ポケモンの処理が狙えない場合は相手の浮いているポケモンの処理を優先的に行うことで地震の選択に損をさせれるようにしていきます
ランドロスを失ってしまう場合はモロバレルになんとか頑張ってもらうしかありません



上を取られるという意味ではやはりこの組み合わせにも手を焼かざるを得ません
天候変化やサーナイト+モロバレルである程度クリアできるものの、ファイアローなどが一緒に構築に入っているとかなり厳しい試合になってしまいます



バンギラスという遅いポケモンにスカーフを持たせている以上、ある程度早いポケモンのスカーフなどもやや苦手としています
バシャーモで上を取る、モロバレルでゲームプランを崩すなどでの対策ができますが、蓄積されてからスカーフランドロス地震で一掃というパターンもあり得るので体力の管理は非常に重要と言えます


いろいろときつい部分、脆い部分はあるものの、ダブルレート1900を行ったり来たりしたり、マッチ戦の大会でもまあまあの戦績を上げれたり、ある程度の結果は出せたのでそれなりに信頼のできる構築にはなっていると思っています